昨日届いたマスクの材料25組分を、今日は朝の6時半から制作し始め午後2時に完成。宅急便で送りました。

今私のミシンは修理に出しているので、お店から代わりの工業用ミシンをお借りしています。

さすがミシンやさんの手元にいるミシンだな~~・・すごくいいなぁと感じます。

機械にも心が宿っていると思います。

この感覚がミシンやさんの縫う感じなんだろうな・・
不思議ですが実際にしばらくミシンを使ってみると、持ち主の思考というのでしょうか・・
呼吸や感覚、その人のリズムがわかる気がします。

ミシンのことを昔、ブログに書いたなぁ・・と昔のブログを辿ったら、見つかりました。

記載が2010年ですから10年も前のことになりますが、私の中では昨日のことのように覚えています。

☆~☆~☆~☆~☆~

(その1)

今朝、ミシンで革を縫いながら、ふとこのミシンとの出会いを思い出していました。

もともと持っていたブラザーのコンピューターミシンがよく壊れていて、何度も名古屋の本社に送って修理してもらっていました。
そのたびに1万5千円以上の修理代がかかったのでそれも大変で困っていました。

ある時また壊れてしまい、修理に2週間かかると言われ納品時期に間に合わず、焦って近所で治してくれそうなミシン屋さんを探しました。

104で探し、家から車で10分位のお店に行ってみることにしました。

このミシン屋さんはみかけはボロボロで中は様々な材料がいっぱいあって、お世辞にも綺麗・・とはいえない店内なのですが、ところがこのご主人のミシンの修理の腕はすごかったのです。

(今日聞いたお話では関東で販売も一位だったそうで、ジューキの社長さんがわざわざお礼にいらっしゃったそうです)


私のミシンをちょっとひっくり返して1・2分で治してしまいました。

そして部品のなかの何が古くて、もうあと1年くらいでまたここがだめになってくるんじゃないかと思うとか
色々なことをちゃんと見ていて教えてくれました。

代金は・・と聞いたら「千円でいいですよ」
私はいくらなんでも1万円はかかると思っていたので本当にびっくりしてしまいました。

「そのかわり、もしもミシンを買うときがあったら、うちに来てね」

と言われたので
「はい。・・でも私の欲しいミシンはもう決まっているんです」と答えました。

私はその頃ららぽーとにできた工房に行って帽子の作り方を教えてもらったことがあるのですが、その時使ったミシンがとても使いやすくて、先生たちにも相談にのってもらい、もしも次にミシンを買うとしたら何を選ぶと良いと思うかを聞いていました。

その先生たちの意見は皆一緒で,その日そこで使ったジューキのミシンでした。

私も本当にいいミシンだ、と感じたし、ミシンのプロが薦めるのが全員一緒ならばそれに決めた、と紙にミシンの番号を書いていつもお財布に入れていたのです。

「何が欲しいの?」
それで私は、なんだかこんなことを言っては申し訳ないような気がしたのですが、お財布から紙を出して正直にそのミシンの番号を言うと
「あ、そのミシンは貴女の横にあるそのミシンですよ」と言われました。

私は小さい丸椅子からひっくりかえりそうになりながら右を見たら、そのミシンが横にいました。

ジューキのミシンなのですが、その時はまだ10月で、11月から中のモーターを日本で作らず海外に作らせるようになってしまうとのこと。

同じ値段だけれど、絶対に日本製の方がいいということなどを教えてくれました。

そして値段も本当に安くしてくれて、さらに私がものづくりをしていると言ったら、お店で使っていたロックミシンまでプレゼントしてくれるというのです。

一応よく考えるため家に帰りましたが、答えは自分の中ではすでに決まっていて、働いて貯めたお金を下ろして買うことにしました。

それからしばらくはこの素敵なミシンを使わずに眺めて暮らしていたのですが(とりあえずはコンピューターミシンもあるので)やっぱり飾っておいても仕方ないかな・・と色々と縫ってみることにしました。

どんな厚さでもすいすい縫えるのは本当に信じられないほどです。
これはモーターが工業用のものを使用しているからです。

厚い革も縫ってみたら、ミシンは全然平気で、なにくわぬ顔で最後まで走ってしまいました。
すごい~!なんて頼れるんだ~!!私はミシンに抱きついてしまいました。(笑)

そして革の手作りが増えたというわけなのです。

でも、これはたまたま・・なのです。
革が縫いたくてそれができるミシンを買ったわけではなく、ミシンを買ったら革が縫えて丁度使ってみたい素材だったので使うようになってきた・・ということで、もしもこのミシンでなかったら私の作品に革は登場しなかったと思います。

(ミシンが良くなかったら、手縫いとか刺繍とかにいっちゃっていたかも・・??)
今はこのミシンは私の宝物で、大切な最高の相棒です。

そんなわけで、本当に不思議なご縁で運命のミシンとめぐり会ったのでした。(続く)

(その2)

そんなことを思い出しながらカメラのパスモケースを縫っていたら、最後の一つに取り掛かったころ下糸がからまり、何度かそんなことを繰り返していたら、糸を切るスイッチを押すとすごい音が・・!(@_@;)
そして糸を切ることができなくなってしまいました。

できる限り自分でやってみたのですがやはり針が動かなくなってしまったので、ミシン屋さんに電話して状況を話してみたらすぐにみてくれると言うので、体中糸くずだらけのまま車でミシン屋さんに持って行きました。

ミシン屋さんは、私のミシンを机にのせてハンドルを手でぐるぐるっとまわして
「ハイ、もうこれで治りましたよ~」
と言いました。

私がどうやっても動かなかったのに・・

私は目がテンになってしまいました。

「え~!これでなおってしまったんですか~?」
「うん。もう大丈夫。力がある人に回してもらえれば持ってこなくても大丈夫だったんですよ~」(←ほとんど力づく)

「ええ~!。そんな・・!それじゃ・・どこか悪くなっているところはないですか?」
「ううん、全然大丈夫。この手加減と音と感触で全部わかるんですよ。それにこの子は壊れないよ。まず壊れるようなことはないからね。」

ミシン屋さんは、その感触と音とでどこが悪いかがほとんどわかってしまうそうです。

でもこれを人に教えようと思っても、勘としかいいようがないから
教えにくいんですよ・・と言っていました。

「他の修理やさんが、30分かかって、あーだこーだ治して5千円といわれてもわかるんだけど、僕が5分で治しちゃって500円、っていうと皆さん納得しないんですよね。でも僕はミシン屋の2代目で、もうここまでくるのに何十年も修理一筋なんですもん・・」
お金なんていらないですよ、と言われるので針や糸巻きをいただくことにしました。

いつでも、何かあったらすぐに持ってきてくださいね!と言ってミシンを車まで運んでくれました。

やっぱり本当にすごいミシン屋さんだな~・・と
つくづく思ってしまいました。

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