驚いたのはそれだけではありませんでした。

区役所のカウンター内にいる人はみんな職員だと思ってしまいますが、中に働いている人達は約7・8割が派遣のパートさんです。

そう、実際は公務員ではないのです。

勿論長くパートされていて社員さん顔負けの知識を身につけている方も沢山いますが、ほとんどは半年か1年の契約で、それが切れたらもうお仕事はなくなってしまう方々ばかりなのです。

フロアの中にはL字型のついたてが沢山あって、来庁された人から奥が見通せないようになっています。

プライバシー保護のためなのかな・・?と最初は思っていたのですが、長くいるうちに(あれは汚さを見せないためのついたてなのでは??)と思うようになりました。

奥に行くと12個の机が6つずつ向かい合わせに並んでいるのですが、その上は全て物置き場として(お菓子やかばんやごみやありとあらゆるいらないもの)が引っ越し現場のようにごちゃごちゃに山積みになって置いてあります。

これ机なんだよね??と最初見た時は目を疑いました。

作業するスペースがどこにもない、しかも12人の机が全員これというのはどうしてなんでしょう??

一人くらい几帳面な人とか、綺麗好きな人もいそうなのになぁ。。

私は子供が幼い頃「机の上をかたづけなさ~い。これじゃ勉強できませ~ん」と言っていたことを思い出しました。

これは全国のお母さんが怒るレベルのカオスだよ・・と思いました。

L字型のついたてには、はがれかけたポスターや紙が貼られていて、本当に360度どこを見ても心が休まりません。

そういえば観葉植物も、空気清浄機も一つもない・・。

そしてこのフロアの人口密度は、電車一両の中なら全部の座席が埋まり、立っている人が3人位の密度なのです。

とても過密なのですが、いわゆる換気というものはどこにもしていないのです。(窓も閉まっている)

そして検温器もひとつもありません。

今まで一般企業ばかり働いてきた私は、涙ぐましいコロナ対策への努力を知っているので、いったいこれはどうしてなのだろう??と思いました。

空気清浄機もない、窓も開けてない、検温器も体温計もない。
アルコールスプレーはちらほらと机にあるだけ。
マスクはつけているけれど、みんなくっついてお仕事しています。

そして驚いたことは8月におこりました。

市のあちこちの区役所やマイナンバーの受け取り特設会場で、職員にコロナの感染者が出て、一時的にその現場が閉鎖されたのです。

市のホームページにはどこの場所で何名(年齢と性別)発症者が出ました、と発表されていましたが、私のいる区役所では4人社員の方に感染者が出たのに発表されなかったのです。

どうしてなの?ととても不思議に思い、課長さんに聞きに行きました。
(正確には私達と同じ派遣社員の一人の方が代表で聞きにいきました)
すると、クラスターではないと判断したから、とのこと。

クラスターではない、という判断って保健所が入って検査したわけでもないと思うのですが、それでいいのかな??

ある日から数人の社員さんが欠席し、私達は特に掃除を綺麗にしましょうとか、手をよく洗いましょうというようなことを言われるでもなく、そのままその過密で換気のできない区役所で仕事は続きました。

私達派遣社員はどうすればよいのか?
リーダーさんが派遣会社に問い合わせたところ、コロナの感染者に私たちが特に濃厚接触したわけでもなければ、区役所側からは何も情報は知らされないということがわかりました。
(勿論、派遣会社も何もしてくれません)

交渉の末、ようやくウエットティッシュを派遣会社から送ってもらえましたが、本当に劣悪な労働環境です。

こんなことはまさか官公庁関係のアルバイトではないだろうと思っていたので、本当に驚きました。

そしてこんなふうに全てが変化も改善されることもなく、淡々と日々の業務が続いていく職場ということも私は驚きました。

例えば区役所も一つでなく、複数あればこんなことにはならないでしょう。

区民にしてみれば、どんなに対応が悪くてもここに来るしかないのでここに来るのですし、区役所もそれがわかっているから、大きな変化もする必要がないのです。

それが楽だからに違いありませんが、上に言われたら食事に使っていた大きなホールは即閉鎖してトイレの前の椅子で食べさせ、自分たち社員は小さな会議室に時間制で入って食事をする。

コロナの患者が出れば社外には隠蔽する。(区長のそれぞれの判断だそうです)

派遣社員には何も教えてくれず、長く一緒に働いていても全く大切にはしてくれません。

これが現実の区役所というところでした。

私はこんなところでもし一生働いてしまったら、人として何かが欠けてしまう、ずれてしまう気がしました。

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