
区役所の体質には心底うんざりしながらも、素晴らしいリーダーや優しい同僚に恵まれ、半年間も楽しく仕事を続けてこれた私。
でも、もう最後の一か月の更新は辞退させてもらうことにしました。
それは私だけでなく残りの全員が同じようなことを考えていて、多分皆辞めてしまうでしょう。
マイナンバーの仕事は、私にとって区役所で働くという貴重な体験をさせてくれました。
同僚の一人が言いました。
「まだマイナンバー作ってなかったっけ??」
「うん」
「そうなんだ、作らないの?」
「うん。最後のひとりになって、日本で作ってないのは貴方一人ですよって肩をたたいてもらいたいの」
爆笑した彼女はお腹を抱えて笑い、目尻の涙をふきながら
「すごい!!すごいよ~~!!何と戦っているの??」と聞くので、もうここまできたらもっと爆笑してほしかったので
「うん、よくわかんない!」と言ってみると
「そうか・・Kちゃん宇宙人だもんね」 (Kちゃんは私の苗字です)と言って思いっきり笑っていました。
「うん。じつはうちゅうじんなんだ。」
彼女は本当に優しくて私は大好きな人ですが、今度3回目の接種をするそうです。
他の同僚も次々と三回目の接種を完了してきて、中には昨日打ったんだと休み時間に体温計で検温している人もいます。
善良で良い人からワクチンを打っていくようにも思う私は、日本一やっかいな人間になるしかない。
でもそれを決めて生まれてきたように思うから、そう生きていきます。
一年以上ここで働いているリーダーは社員以上の働きをしている、とても仕事のできる方ですが、一年いても自分の名前を憶えてくれる人は2・3人、いるかいないかだと言っていました。
私達は全員「派遣さん」と呼ばれるのです。
そして区役所には「会計年度さん」という呼び名の、窓口業務に携わるパートの方々がいらっしゃいます。
この方々は区役所からの直接雇用で一年か半年契約のアルバイトです。
区役所に来庁した一般の方々に対応する窓口の方は、どこでも100%パートなのです。
この方々は派遣よりも時給は低いのですが、安定していること、少なくとも半年以上は仕事させてもらえることから、60代、65歳以上の年金をもらっている方も多くいらっしゃいます。
残念ながら、その方々は派遣社員に対して自分たちのほうが上という壁を作ってしまう人もいるようです。
以前から一番困っていた昼休みに食事をする場所を与えてもらえない問題は、どういうわけか「会計年度さん」たちはクリアされていてどこかの会議室に入れてもらえるようですが、私達は目の前のラウンジが空で誰も使っていなくてもけしてそこを解放してもらえず、トイレ横のソフト椅子に座って食べるのです。
それでも私達はひとつづつ椅子を飛ばして座り、食べ終わったら皆すぐにマスクをつけてお喋りするのですが、食べている最中にしゃべっているのを見たと、三回も誰かが戸籍課の課長に通告し、派遣会社にも伝えたそうです。
(ちなみに私が出勤していたのは3回のうち一日だけでしたが、皆シラケきった顔をしていました。)
それならどうして目の前の空いている部屋を使わせてくれないの?と思うのですが、そこは派遣会社にお願いしても一向に開放されません。
そしてその後わかったことがありました。
戸籍課の社員の中に感染者が出たのです。
でもその人数さえも私達には教えてもらえません。
ただ、いつもいる社員があの人もこの人もいない、それでわかるというだけです。
そしてその感染の責任を私達に押し付けたいということがわかってきました。
しかし残念ながら私達は、しっかり時間ごとに手洗い・うがいをしたり、拭き掃除をしたりしているので誰一人感染しないのです。
そしてその理不尽さに耐えてきてどうなったかというと、食事中は離れて座り、一切無言でスマホを見ながら食事を食べるというありさまです。
スマホで皆が見ているのは求職サイトという(爆笑)結果になりました。
あまりにもくだらなすぎて、もうここは限界だと思いました。
リーダーは良いところを見つけたら、皆そっちに移っていいんだよと言います。
長く様々な派遣で働いてきた同僚も、派遣社員はそれでいいんだ、皆一か月前にやめることを伝えるなんてしないで、その場でやめていくものだよと言います。
一番下の一番守られていない派遣は逆にそれでいいんだ。それを派遣会社もわかっているし、もとから私達を守ろうとは思ってもいないのだと。
でも私にはそれはできない・・・。
もうシフトは組まれているし、私の抜けた分、皆が忙しくなるでしょう。
ここで会った仲の良い同僚とも、この仕事から離れたら会うこともなくなるのもわかっていますが、私はそれはできないと思っています。
私は地求人くさい宇宙人なんだろう、と思います。