先日、出勤するために電車に乗ったときのことです。
二つ先の駅で、若いお母さんとベビーカーに乗った可愛い男の子が乗ってきました。
可愛いな~と思って何気なく見ていたら、男の子は両手に持ったスマホのゲームを上手に人差し指で操って画面に釘付けで遊んでいました。
その人差し指の器用なこと!
ついついっとスライドさせているのですが、あまりに手先が器用でビックリ。
私のほうがその手元に釘付けです。
男の子はそのスマホゲームに没頭していましたが、途中で獲物をゲットしたのでしょうか、おおっ!!という驚いた顔をして、その画面を横に座っていたお母さんに見せました。
私がびっくりしたのは、その顔がまるで30代の男の人のような、すっかり大人の表情をしていたことです。
もしかしたらお父さん似だったのかもしれないと今は思うのですが、ゲームをしていて何か嬉しい場面があって「見てよ、これ!」というリアクションの時、人は皆同じような表情になるのでしょうか。
まだまだ2歳位で幼いのでお母さんもこの坊やにゲームを買い与えることはしていないと思いますが、電車の中でおりこうにしてほしくてスマホのゲームをさせていたのでしょう。
そんなことがたびたびあってあの熟練した手つきになったのだと思いますが、子供の習熟度の速さには驚かされます。
私が娘を育てた頃はゲーム時間を一日何分にするか、宿題や勉強やお風呂を終わらせてから・・などと神経を使ったものでしたが、乳母車(あえてベビーカーと言わず乳母車と言いたい)の中でスマホゲームが熟達する時代が来るとは思いませんでした。
ひとつ気になったのは、男の子がそのあと15分先の駅で降りるまで、一瞬たりとも窓や景色のほうを見なかったことです。
男の子はみんな動くものが大好きで、電車に乗れば窓からすれ違う電車を見たり外に見える車を眺めたりご機嫌になるものだと感じていた私は、それが本当に驚きました。
もしかしたらゲーム画面の中に動く車や電車が入っていたのかもしれませんが、彼にとって興味のある世界はゴトンゴトンと音がして走っているこの電車に乗っている体験よりも、バーチャルの画面の中だったのです。
駅に着き、お母さんはバックを肩にかけて立ち上がり、ベビーカーを押してプラットホームへ出ました。
扉が開く時も、電車から外に出ても、男の子は周りの景色を一瞬も見ることもなくスマホの中に集中していました。
そして画面に釘付けの男の子を乗せ、お母さんはベビーカーを押して歩いていきました。
いつでも若い世代は新人類と言われ年齢が高い人からは色々と言われるものですが、これからの子供たちは本当に違う世界に生きることになるでしょう。
そしてその流れは誰にも止めることはできないでしょう。
これから先の子供たちを育てるお母さんたちほど、大変な任務を持った人たちはいないのかもしれません。
知らない世界に移動していく人類が、人として生きる素晴らしさを伝えていくことは、AIでも可能などんな学問を収めるより大切で、最も学ぶべきものではないでしょうか。
子供たちは大切なことを必ず理解し、その先へ繋いでいってくれると私は信じています。